前回の記事では、アセットの準備から地形の生成、地形のマテリアル設定をしてきました。
今回は、作った地形の上に草を生やし、環境の設定をするところまでを解説していきます。
- 前編 アセットの準備&地面を作る
- 中編 植物を生やす&環境の設定(この記事)
- 後編 カメラ、シーケンサーの設定&画像出力
植物を生やす
フォリッジモードに植物をセットする
森の場合植物をランダムにかつ大量に配置する必要があります。で、UE4には都合よくそういう配置に特化した機能があり、その機能を「フォリッジモード」といいます。今回はこのフォリッジモードを存分に活用して植物を配置していきます。
まずはモード選択のタブから、今回はLandscapeではなく「Foliage」を選びます。そうすると画面左側に「+ Drop Foliage Here」と書いてあるところがあるので、そこに生やしたい植物のメッシュをドラッグアンドドロップで入れていきます。
全部入れていくととても見づらくなってしまうので、一度モデルを確認してから使いたいものだけ入れていきましょう。
生やす植物の制限
生やしたい植物を全部ドラッグアンドドロップしたら、あとは地面の上をブラシでドラッグしていけば生やせるのですが、このままだと植物の密度や種類の設定をしておらず生えすぎて大変なことになるので、具体的にフォリッジモードの機能を解説していきます。
まずは生やす植物の制限をするとき。
画面左側に植物のメッシュの画像が表示されているのが分かると思います。この画像の左上にはチェックボックスがあり、チェックを入れるとブラシで地面の上をドラッグした際にその植物が生えます。逆にチェックを外した状態だと画像が暗くなり、生えなくなります。
試しに最初の4つだけにチェックを入れてドラッグしてみると、その4種類の植物だけが生えました。
こんな感じで生やしたい植物を制限したいときは、このチェックボックスを使い分けてください。
密度の設定
続いて密度ですが、設定する箇所が二か所あります。
まずはブラシの「Density」。画面上側で設定できます。
これはチェックを入れたすべての植物の密度が変化します。植物の全体的な密度を変えたいときはここで設定しましょう。
もう一つは、植物ひとつひとつの密度。
植物の画像を押すと、その下に詳細設定画面が出てきます。
ここにある「Density」を変えると、その植物の密度が変わります。
個別に設定したいときはこちらを使いましょう。
その他詳細設定で確認したいところ
- Scaling 大きさの最大値と最小値を設定し大きさをばらつかせると、統一感がなくなってよい。若木を生やしたいときは大きさを小さくすればよい。
- Random Yaw (最初からチェックが入っていますが)チェックを入れるとZ軸にランダムに回転した状態で配置される。これも統一感がなくなってよい
- Align to Normal チェックを入れると地面と垂直に植物が生える。木など、まっすぐ上に生やしたい植物はチェックを外しましょう。
ちなみに、CtrlやShiftを使ってメッシュの画像を複数選択している状態だと、一括で詳細設定を変更できます。かなり便利!
森に学ぶ
ここまで来たら、あとは好きなように生やしていけばよいのですが、どの順番で植物を生やせばいいか迷うと思います。
そんなときは、現実の森を基準に考えます。背丈の高い植物と背丈の低い植物があるとして、どちらが影響を与える側かというのを考えると、背丈の高い側ですよね。逆に低い側はその影響を受け光量や場所が制限されます。つまり、配置の順番としては背丈の高いほうからやっていくほうがつじつまを合わせやすくおすすめです。
作っていく際に詰まってしまったら、私が撮影した以下の写真も参考にしてみてください。(すべて同じ森で夏に撮影。歩道がありますが、木の種類が豊富で間伐や草刈りなどもほとんど行われてない、どちらかといえば原生林に近い場所です。)
私が撮った他の写真一覧はこちら。
個人的なポイントとしては
- 木の間隔が結構狭く、直射日光がほとんど下までいかない
- 草の密度が半端ない
- 幼木、若木が結構多い
- ギャップと呼ばれる、木が枯れたり倒れたりして地面に光が当たる場所がところどころにある
などですかね。まあ、現実に必要以上にとらわれる必要はなく(Unreal Engineなんで笑)、きれいで、美しく、あとゲームなら軽ければOKみたいなところはあります。
現実との違いをうまく隠しつつ、いい感じの森を作っていきましょう。
環境の設定
上に載せた写真はすべて同じ森で撮影したものですが、明るさや色合いなどでだいぶ雰囲気が変わっているのが分かると思います。これは時間、天気、湿度、カメラの設定などがそれぞれ異なるためです。(季節でも変わります。ただ、上の写真はすべて夏にとったものなのでそこの違いは見られません。)
UE4でもこれらの「環境」を設定していくことで、見栄えがかなりよくなります!
Post Process Volume
一番最初に設定するのがPost Process Volumeです。これは、画面上に様々なエフェクトを加えることができるアクター(オブジェクト)で、森の中の明るさの調整を容易にできるようになります。
まずはモードを「Select」にして、左の検索欄で「PostProcessVolume」と検索します。
検索で出てきたPostProcessVolumeをワールドの適当な場所に配置します。ピンク色の枠の箱が出ますが、この箱の中にいるとエフェクトがかかります。
Detailsで箱を大きくし、箱が森を囲むようにします。
Detailsにはたくさん項目がありますが、まずは「露出(Exposure)」という明るさの項目を変えます。Playを押してマネキンを動かしていると場所によって明るさが自動で調整されると思いますが、これはデフォルトの設定で露出を自動調整するように設定されているためです。
この機能はゲームなどでは雰囲気が出てよいのですが、物を配置している際は明るさが激しく変わるので正直かなり邪魔です。
そこで、Post Process Volumeを使って露出を一定に保つように変更します。
Lens>Exposureと進み、Min BrightnessとMax Brightnessにチェックを入れて値を1.0に変更します。
これで明るさが一定になり作業がしやすくなりました。
他にもColor Grading>GrobalやFilmの各項目を変えることで明るさや彩度を調整できますが、ここら辺の調整は他の設定が終わって、レンダリングの直前になってから設定するのがおすすめです。
Exponential Height Fog
次に、森の中と言ったら絶対に欠かせない「霧」を追加していきます。
左の検索欄で「ExponentialHeightFog」と検索し、ワールドの適当な場所に追加します。そうすると霧が追加されると思います。これだけでもかなり雰囲気が出る!
Detailsでは霧の量や発生位置を設定できます。
Directional Light & BP Sky Sphere
次は太陽と空の設定をしていきます。
まず太陽ですが、UE4ではDirectional Lightというワールド全体に光を照らすライトを使います。おそらくLight Sourceというライトがすでにワールド上にあると思いますが、これがDirectional Lightです。このライトがないと世界全体が真っ暗になってしまうので、外のワールドを使いたいときはほとんど必須のライトです。
Detailsでは明るさや色を変えることができるほかに、Light Shaftsの項目を設定することで光の筋を表示することができるようになります。
次にBP Sky Sphereですが、これは空の見え方を少し細かく設定できるBPです。
左の検索欄で「BP_Sky_Sphere」と検索し、配置します。そうすると空の色が変わります。Detailsパネルで空の色や雲の量を変えることができます。
BP_Sky_SphereはDirectional Lightと連携して太陽の位置を表示させることができます。Directional Light ActorのタブでワールドにあるDirectional Lightを選ぶと、ライトの方向に応じて太陽の位置が変わるようになります。
ライトの向きを変えたときは、Refresh Materialのチェックを押すと太陽の位置を更新できます。
Sky Light
Sky Lightは太陽光が地面に当たったときの反射光を調整することができます。Sky Lightがない状態は反射光が全くない状態なので、Sky Lightを追加するだけで森の中が明るくなります。
明るめの森を作りたいときはSky Lightを使ってみましょう!
まとめ
今回は植物を生やして森を作り、太陽や霧の設定などもしました。環境の設定が結構大事で、かなり見た目が変わるのが分かると思います。
次回は、作った森を画像として出力するために、カメラとシーケンサーの設定をしていきます!
- 前編 アセットの準備&地面を作る
- 中編 植物を生やす&環境の設定(この記事)
- 後編 カメラ、シーケンサーの設定&画像出力
コメント